これまでのブログでは、試料粉砕機本体の構造やメンテナンスについてご紹介してきました。今回は視点を変えて、粉砕に欠かせない容器の材質選定についてお話しします。サンプル特性や目的によって最適な材質は変わるため、研究や製造現場では重要なポイントとなります。


アルミナ(Al₂O₃)

化学的に安定し、幅広い試料に対応できる最も一般的な材質です。コスト面でも導入しやすく、基礎的な粉砕用途に適しています。


タングステンカーバイド(WC)

高硬度・高比重により短時間で効率的な粉砕が可能です。高エネルギー粉砕に有効ですが、金属元素のコンタミが発生しやすいため用途に応じた注意が必要です。


ジルコニア(ZrO₂)

耐摩耗性に優れ、金属元素の混入を大幅に抑制できます。バイオ・医療・セラミックス分野など、コンタミを避けたい試料に最適です。近年は主流材質として選ばれるケースが増えています。


窒化ケイ素(Si₃N₄)

軽量でありながら硬度が高い特殊材質です。耐摩耗性や耐熱性に優れており、特定の研究用途でご利用いただいています。ご注文頻度は少ないものの、ニッチなニーズに対応する材質として安定した評価を得ています。

まとめ

アルミナ:一般的な粉砕用途

タングステンカーバイド:高効率・短時間粉砕

ジルコニア:高純度・コンタミ抑制用途

窒化ケイ素:特殊研究用途

試料や目的に応じて最適な材質をご提案いたします。ぜひお気軽にご相談ください。



次回予告
次回は、容器の密閉方法(ゴムパッキン・Oリング・ラバーリングなどの比較や特徴)のポイントを解説しますので、ぜひご覧ください。


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