こんにちは。株式会社シー・エム・ティの本田です。

本日は、弊社で販売・サポートしている試料粉砕機を長く、安全にお使いいただくために欠かせない
日常メンテナンスのポイント」をご紹介します。
“ただの清掃”ではなく、製品寿命・分析精度・作業効率すべてに直結する重要なテーマです。


■ メンテナンスを怠るとどうなる?
粉砕機は高回転で動作し、粉塵や衝撃を伴う機器です。
以下のようなトラブルは、日常点検や清掃不足が原因で起きることが多くあります。

容器のガタつきや異音発生
モーター負荷の増加、発熱
粉塵の蓄積による漏電・焼損
試料への異物混入(コンタミ)
→ 定期的なチェックとケアが、性能維持と故障予防の鍵です。


■ メンテナンスの基本3ステップ

① 使用後の清掃は「その日のうちに」
粉砕容器・固定ネジ部・本体内部(特にファン周辺)に粉塵が残ったままにしないことが重要です。
→ 清掃不足が原因で、次回使用時の異音や分析値の誤差につながるケースも。

✅ エアブローまたはブラシで乾式清掃
✅ 細部は綿棒や紙ウエスなどで丁寧に
✅ 湿式清掃後は完全乾燥を確認


② 消耗部品の状態確認

(1)粉砕容器の消耗部品
粉砕容器の蓋部には、密閉性を保つためのゴム製シール部品(ゴムパッキンやラバーリング)が使用されています。
特にTI-300型容器にはOリングを採用しており、摩耗や劣化による密閉不良を防ぐため、定期的な確認と交換が必要です。

部品 交換タイミングの目安
Oリング/ラバーリング 半年〜1年程度(使用頻度・使用環境による)
容器締め付けネジ類 ゆるみ・変形があれば即交換

(2)本体側の消耗部品
本体部分にも定期交換を推奨する消耗品があります。
特に振動吸収や動力伝達の役割を果たす防振ゴム、ゴムカップリングは経年劣化や亀裂が起こりやすく、異音や振動増大の原因になります。

また、振動枠のメンテナンスとして、金属パーツの摺動部には注油が必要です。
頻度は「都度程度」が目安で、取扱説明書にも手順を記載しています。
近年出荷分では本体にマグネット式のメンテナンス表を貼付して注意喚起を行っていますが、以前の機種では装備がありませんので、ご希望の際は弊社までお問い合わせください。

部品 交換タイミングの目安
防振ゴム・ゴムカップリング 亀裂・硬化・異音発生時に交換
皿バネ クランプ力の低下・粉砕後または粉砕中に試料漏れが発生

③ モーター・電源まわりのチェック
長期間の使用では、電源コード・スイッチ・端子まわりの緩みや焦げ跡などが劣化のサインです。

プラグ周辺に異常な熱を感じる
スイッチの動作が重い・鈍い
異音や異常振動が出る
→ いずれも点検またはメーカー問い合わせのサインです。


■ 安全のための使用上の注意(再確認)
負荷のかけすぎに注意(容器の容量目安を守る)
動作中の開閉・容器触れは禁止
異音が出たら使用を中止し確認
→ 作業者の安全確保と装置寿命の両方に関わる基本項目です。


■ トラブルを未然に防ぐには?
「使えるうちは使い続ける」ではなく、
**“違和感に気づいたら一度止める”**が長寿命の秘訣です。

弊社では、ご使用中の粉砕機の点検・消耗品販売・一部部品の修理対応も行っております。
お気づきの点があれば、ぜひお気軽にご相談ください。


■ おわりに
試料粉砕機は、分析や製造の“最初の工程”を支える縁の下の力持ちです。
その力を最大限に活かすには、「日々のひと手間」が最も大きなメンテナンスになります。


📌 次回予告:「試料ごとの最適粉砕条件とは?」― 金属粉・有機物・セラミックスの違い
お楽しみに!